2017年8月11日金曜日
デザインのオントロギー―倫理学と美学の交響 山田 忠彰 (編集), 小田部 胤久 (編集) ナカニシヤ出版
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人間の生き方や幸福までをも創造する「デザイン」とは何か。形に惹かれ、形式を認識し、ものの質感を感得する「人間はデザインする存在」である。デザインの倫理・美学的考察。
「BOOKデータベース」より
倫理学的思考と美学的思考の九本のこれらの糸の、彷徨い、弾け、結びつく旋律の「交響」が〈デザイン・ワールド〉というラビュリントスを、ここから決して抜け出すことはできないのではあるが、人間が、ときには微笑みながら、友と語り合いながら、生きることができる場となすためのプログラムを、奏でえていることを願いたい。
(「まえがき」より)
[目次]
まえがき
第I部 美術とデザイン
第1章 バロックとネオバロック――モダンとポストモダンの狭間で――
1 バロックと現代、あるいは「ネオバロック」
2 ポストモダンと「ネオバロック」
3 バロック的修辞学の戦略=デザイン――テザウロの「才知」の場合――
4 ヴィーコの「詩的倫理学(logica peotica)」の場合
第2章 デザイン論という観点から見た富岡鉄斎
1 江戸時代の絵画とデザイン
2 江戸の南画
3 富岡鉄斎における南画
4 人生観の水準での鉄斎のデザイン
5 富岡鉄斎の実像を求めて
第3章 現代イタリアのデザイン教育
1 イタリアの教育制度
2 イタリアの学校は機能していない?
3 個性を伸ばし、発想力を養う教育
4 即戦力となる人材の育成
5 企業へ、世界へ、開かれた学校
第II部 芸術とデザイン
第4章 公共空間におけるデザイン
1 「公共空間」とは何か
2 「社会的共通資本」と新しい公共空間
3 「景観まちづくり」とデザイン
4 アメニティの保存と創出
5 むすびにかえて
第5章 庭園におけるデザイン――デザインを超えるもの――
1 はじめに
2 デザイン=意図を超えるもの
3 モダン・デザインと庭園
4 現代造園の可能性
第6章 「将来からの断片」としてのデザイン――〈形への企て〉をめぐる一考察――
1 新プラトン主義の〈企て〉
2 断片としてのデザイン
3 デザインの逆説
4 デザインの酵素
第III部 倫理とデザイン
第7章 意味=形態の開いた連鎖――シャフツベリにおける美と公共性の連関をめぐる一考察――
1 複数性を問うこと
2 美・所有・公共性
3 語る/独白する「主体」の位相
4 特徴/記号の開きと閉じ
第8章 「民衆」のための「制作」と「倫理のデザイン」
1 現代アメリカと「デザイン」礼賛
2 近代「デザイン」概念の誕生
3 古代ギリシアにおける職人と哲学者
4 近代のデモスとデザイナー神話
5 〈民衆礼賛〉とデザインの倫理
第9章 存在とデザイン――デザインのデ・サイン構造――
1 記号化される生命
2 表面の世界
3 デザインとデ・サイン
あとがき