2018年1月26日金曜日
ホエール・ミュージック 駄目な僕の未完の大作 ポール・クォリントン (著), 奥田祐士 (翻訳) DU BOOKS
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ブライアン・ウィルソンをモデルにしたロック小説。
あの『グリンプス』をしのぐ面白さ! 幻のロック小説がついに邦訳刊!
BRIAN WILSON PRESENTS SMILEツアーのパンフには、SMILEにインスパイアされた文学
作品が3作紹介されていた。ルイス・シャトナーの『グリンプス』(創元SF文庫、ちくま文庫)とサルマン・ラシュディの『THE GROUND BENEATH HER FEET』、そして本書、ポール・クォリントンの『ホエール・ミュージック』だ。
いうまでもなく「デズモンド」はブライアン・ウィルソンがモデルだが、ほかにも偽ロック史のエピソードがふんだんに盛りこまれている。例えばビートルズが「エド・サリヴァン・ショウ」に出演したとき、デズモンド率いるハウル・ブラザース(ビーチ・ボーイズ)はなんとエルヴィスの家にいて、ピンボールで遊びながら横目で見ていた、とか...。また、主人公はドラッグのせいで、ついさっきのことを忘れてしまうという設定なので、一人称の文章が時間的に痙攣し、カート・ヴォネガット的な効果を上げている。「ブライアン」が女の子を捜してひさびさに外に出てからの、スラップスティック的な描写も楽しい。
著者のポール・クォリントンは、スティーヴン・リーコック賞の受賞経験があるカナダの作家兼ミュージシャン。本書は「ペントハウス」誌で「史上最高のロックンロール小説」と絶賛された。1994年にカナダで映画化もされ、高評価を得ている。(発行元より)
解説: 竹内修(wilsonic)
装画: 本秀康
デザイン: サリー久保田