2017年7月10日月曜日
エンデ全集〈18〉エンデのメモ箱(上) ミヒャエル エンデ (著),田村 都志夫 (翻訳) 岩波書店
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『モモ』『はてしない物語』などの児童文学作品で知られる作家,ミヒャエル・エンデは,何十年もの作家活動のかたわら,書斎においたメモや原稿用紙,入場券や請求書の裏などに創作のヒントとなるアイデアや文章を書きつけてきた.
この本は,それらの文章を横並びに広げて見せ,多様なエンデの思想世界の一部を紹介したものである.その中には,創作メモだけでなく,詩やナンセンスな短編小説,文学に関する長めの評論や,児童文学をテーマにした講演,子どもたちのインタビューに答えたもの,また現代文明に対する批評など,エンデ思想の核となるものがうかがえるものがある.エンデがなぜファンタジーという文学の形式にこだわったかも,エンデ自身の言葉で綴られている.また,エンデの戦争中の体験を綴った自伝など,他では読むことのできない珍しい小論もある.
113の短編からエンデの多彩な面が万華鏡のように浮かびあがり,物語作家であり思想家でもあるエンデの創作の秘密が明らかになる,エンデ文学解読のためには必読の一書.(出版社より)
[目次]
よくある幽霊話
ニーゼルプリームとナーゼルキュス
愛読者への四十四の問い
死と鏡――メルヒェン
木の言語
発明しない者への讃歌
これもまた根拠です
アンルラ
クエスト
魔法の時計
平行ものがたり
ある中央ヨーロッパ先住民の思い
お茶会
これっきり
亀
招待
天井の音楽の夢
AとO
パガート
単純
不可思議なものをもとめて
――エトガー・エンデとその絵画
知恵ぶかい愚か者
年老いた山男
芸術界の天才志望者への助言
謙虚
くすぶった会話
悪の華
ミヒャエルとアダム
論理的帰結――SFストーリーの構想
……
永遠に幼きものについて
――国際児童図書評議会東京会議での講演
王国
文体のはったり
ファンタジーとアナーキー
「おそれるな」
言葉の生産高
……
無意義への殉教者
慣習としての写実主義
知的世界のブローカーたち
運命の象形文字――物語のデッサン
シュヴァーヴェン人の整頓好き
どうしてなのだろう?
ゴとマ
ふたたび問う,芸術とはなにか?
祖母は中国庭園に座り,泣いている
――わたしの終戦体験記
……
世界を変える
まったくドイツらしい
二つの博士号を持つ,大学教授サタンソン氏のドクトリン
お金と成長
……
子どもたちの質問時間
寓話が教えること
見知らぬもの嗜好症
世界を説明しようとする者への手紙
訳者あとがき(田村都志夫)